雑穀物語NEXT〚第29話〛 大麦分類方法を正しく理解する


この物語は、雑穀の魅力について正しく、わかりやすく広めるために生まれた、雑穀の真実に挑戦する信実のヒューマンドラマです。雑穀の有資格者を中心に、皆様から寄せられた雑穀にまつわる疑問についての答えを探していきます。


 


ミレイ
「グレオくん、今日の『みんなで絵本を作ろう会』のボランティアスタッフ、よろしくね。男手が少なくて困ってたので、助かるわ。このもち麦おにぎり、差し入れよ。うちの商店街のお米屋さんのお姉さんが作ってくれたの。」

グレオ
「了解、了解。へ~、もち麦おにぎりか、とってもおいしいね。パクパク、もぐもぐ。」

ミレイ
「あっ、何個目? スタッフはひとり2個までよ。」


グレオ
「4個、いや5個目だった、。。ところで、ミレイちゃん、麦って種類多いよね。もち麦の他にも、大麦、小麦、ライ麦、オーツ麦、押麦、丸麦、米粒麦、はだか麦、ビール麦、、、すごいよね。これら全部を混ぜ合わせると、どんなおにぎりができるんだろう?」

ミレイ
「違うよ、グレオくん。今言ったこと、作物としての麦の種類や精麦方法の名前、用途による名前がごっちゃになってるよ。」

グレオ
「え~そうなの?どれのこと?」

ミレイ
「ライ麦やオーツ麦は、麦の名前なんだけど、押麦、丸麦は大麦の精麦方法の違い、ビール麦は、ビールに使われる大麦っていう意味よ。大麦って、用途も広く、いろいろな名前で呼ばれているから、混同してしまうこともあるの。」

グレオ
「えーっ、そうなの、少し勉強したくなったかも。教えてくれる? 」

ミレイ
「いいわよ。まず、行政的な観点からいくと、農林水産省で統計としての麦の分け方は、小麦、二条大麦、六条大麦、はだか麦の4種類になるわ。はだか麦も大麦の一種ね。」

グレオ
「へ~、二条、六条って、京都の通りみたいだね。四条はないの? 」

ミレイ
「四条も三条もないわ。大麦でいう、二条、六条は、穂に並んだ実の列のことなの。この写真を見てくれる? 小穂っていう種になるところが、2個づつ付いているか、6個づつ付いているかってこと。基本的には、大麦はこの二条か六条のどちらかになるの。もっと正確にいうと、穂軸の各節に小穂が3個ずつあって、六条大麦は3個とも実を付けるので、上から見ると六角形になっているの。しかし、二条大麦は中央の小穂だけに実が付いて、両側の実は退化してしまっているので、穂は扁平状に見えるのよ。」

二条大麦           六条大麦

グレオ
「なるほど、実が付いている形から二条大麦や六条大麦って言ってるんだね。」


ミレイ
「また、粒の大きさは、一般的には二条大麦の方が大きいことが多いので、二条大麦のことを “大粒大麦”、六条大麦のことを “小粒大麦” って分けられることもあるのよ。」

グレオ
「そーなのか。ここまで、何とか理解しているけど、まだまだ呼び方ありそうだね。」

ミレイ
「うん。そして、はだか麦のことなんだけど、これは種子についている皮がつるんっと、すぐに剥がれちゃう大麦の種類なの。そして、簡単に皮が剥がれない種類を “皮麦” としているわ。二条大麦、六条大麦は、すべてこのはだか麦と皮麦のどちらかになるのよ。」

グレオ
「なるほど、そうーいうことか。

ミレイ
「また、お米にもち米とうるち米があるように、大麦にも、“もち” と “うるち” があるの。もち性の大麦のことは、一般的に “もち麦”と呼ばれているわ。もち性の小麦は、そのまま “もち小麦” っていうのよ。」

グレオ
「ふ~ん、そうかぁ、だんだん覚えきれなくなってきた。でも、今日のもち麦おにぎりは、もち性大麦が入ったおにぎりだってことはOKだね。」

ミレイ
「そこは大丈夫なのね。ということで、大麦って、もっといろいろな呼ばれ方があるので、この続きは、今日の会が終わってから話すね。みんなで絵本を作ろう会、がんばろうね。」

グレオ
「は~い、スタッフがんばります! みんなも食べようよ、もち麦おにぎり。もちもち、ぷちぷちして、とってもおいしいね!」

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